傷つけられたのはほんの一部のはずなのに、やけに痛くて動けない。
赤と白の二つの体液が入り混じった生臭い部屋にうずくまる。
「ソノ大事ナ指デモヘシ折リャ、満足スルノカ?」
そんな事は出来ないに違いない。
『絶対クリスマスボウル!!』
誓い合ったあの日に縛られているのはあいつのほうだから。
アメフトを諦めるなんて、できっこない。
絶対させない。
それが例えどんなにあいつを追い詰めようと苦しめようと、離してなんかやらない。
たった3人の約束。他には誰もいないから。
大勢で見る夢ならきっと、これほどまでには気にならない存在。
だけど代わりがいないから。ただそれだけの存在理由。
絶対に逃がさない。
「………ってぇな!糞っ!!」
やけに痛い。
他に仲間がいるのならこんな痛みには甘んじないのに。
仲間なんていないから。
エゴの為だけの関係作りで繋がった大切な大切な道具。
ただそれだけのはずなのに。
傷はそこじゃないのに、身体の真ん中がやけに痛い。
いつまでも動けないでいる自分に腹が立つ。
拳に入った力を抜いて、代わりに唇を噛み締める。
大事なこの手は夢の為。
夢の為ならなんだってくれてやる、犠牲とさえも思わない。
「こんなトコでくたばってたまるか………。」
先の見えない未来に向かって手を伸ばす。
その為にはまずここから立ちあがろう。
寝ているわけにはいかないから。
逃げかかった哀れな手負いの獣に縄をかけて喰らい尽くす。
全てはクリスマスボウルの為。
「絶対諦めねぇからな。覚悟しやがれ、糞ジジイ!!」
嫌われようが憎まれようが構わない。
それが鎖になるのなら喜んで蔑まれよう。
自分と一緒に走らせる為ならどんなに汚い事だってしてやる。
全ては夢の為。
終