阿含の下で不条理に組み敷かれたヒル魔の身体は悲鳴を上げている。
けれどもその口から声が漏れることは無く、ただ息を詰め暴力でしかない行為に身を委ねていた。
ヒル魔のそんな様子に阿含は薄笑いを浮かべ、抉るように突き上げる。
「......っ!」
「声っ、出してもいいんだぜ?」
細く引き絞られたヒル魔の目が阿含を刺し貫く。
その切れ上がった眦にはほんのりと朱が浮かんでいる。
阿含から受け取っているものが痛みだけではない証拠。
毎回の事ながら、ヒル魔の身体はとても柔軟で男同士だというのに阿含の身体をいとも簡単に飲みこむ。
しかしそれでは阿含の計画が狂ってしまう。
ただの気持ち良いSEXでは意味が無い。
だから気持ち良さなど感じられないくらいに阿含はヒル魔を追い上げる。
「......っ、さっさと...終わ...やが...れっ」
「......チッ」
阿含は小さく舌打ち、限界の近づいた自分の欲望に忠実に動き始めた。
ヒル魔の瞳は強く閉じられ、痛みの中にすら顔を出そうとする快感に耐えている。
そんなヒル魔の我慢強さは阿含にしてみれば予想外だった。
初めこそ痛いだけのSEXをと思っていたはずなのに、ここまで我慢されてしまうとそれはそれで自分のテクが足りないと言われているようで胸がムカムカする。
そんな不愉快感を感じながら阿含はヒル魔の中に精液を吐き出した。
「っ!!......この、糞ド...レッド......」
「なんだよヒル魔ちゃん、中に出されて気持ちよかったの?」
「うっせぇ!良いわけねぇだろうがっ!!出すもん出したんなら退きやがれっ」
悲鳴と嬌声を押し殺した後のヒル魔の声は少し掠れていて、そんな声音で強がられると阿含でなくてもちょっかいをかけたくなってしまうに違いない。
阿含は無造作にヒル魔から抜け出すと、未だに動けずにいる細く白い身体を押さえつけて獣のような舌なめずりをして見せた。
「我慢できたご褒美。」
「あ゛?何言ってやがんだ、この糞ゴーカンドレッド...って、うあっ!!」
唐突に下腹部から這い上がってきた感触にヒル魔の声が上ずる。
萎えかけたヒル魔自身がいきなり阿含の口に含まれ、巧みに追い上げられていく。
先ほどまでの行為では達することの出来なかったヒル魔にとって充分すぎるほどの快楽が脊髄を伝って全身へと這い上がる。
口元を押さえても指の隙間から零れそうになる声にヒル魔の顔は赤く染まった。
阿含はそんなヒル魔の姿を上目使いに確かめて口端で笑う。
僅かに動かされる唇から伝わる、ほんの少しの刺激さえも今のヒル魔には耐え難く、思わず股間に埋もれた阿含の頭を掴んで叫んだ。
「......もっ...離っ...れ!!...んっ」
どんなに言葉で嫌がったところで阿含の髪を掴む手は弱弱しく、捕まえた腰は揺らめいて自らを押し付けようとする動きさえ見せている。
痛みに耐え、男に犯される屈辱に顔を歪ませていたときとは全く違う表情のヒル魔に阿含は違和感を感じる。
しかし同時に快楽を拒絶しきれず、男に追い詰められる羞恥の広がったヒル魔の表情は阿含が溜飲を下げるのに充分なものだった。
「阿ご...マジ離っせ......無、理っ...ぁ?」
我慢の限界に近づいたヒル魔が弱音を吐いた次の瞬間、その懇願に阿含は素直に従った。
急に快感を剥ぎ取られ、阿含の唾液と先走りの絵体液で滑り光ったヒル魔自身が外気にさらされ頼りなく震える。
そのあまりに酷い放置にヒル魔は思わず阿含を睨み付けていた。
「何もの惜しそうな顔してんだ?自分で離せっつっといて。」
「......っ。」
阿含の言葉に、ヒル魔は瞬間的に顔を背ける。
自分の失態に気付き悔しがるヒル魔の姿は阿含の感情をとても喜ばせていく。
上手く動けないヒル魔の足を掴み、阿含はさっきまで自分を受け入れていた孔に前触れ無く指をねじ込んだ。
「ひあっ......んっくぅ......」
「もうこっちでイけんだろうがっ!」
「やめっ...くはっ!」
阿含が注ぎ込んだ体液がヒル魔を押し開いた指に伝って零れ落ちてくる。
グチャグチャと粘着質な音を立てながら、阿含みはヒル魔の前立腺だけを責め続けた。
生理的な射精感にヒル魔の背がしなって白い咽喉を晒させる。
「...うっ...ぁあ......んんっは、ぁ......」
阿含の指が肉壁を抉る何度目かの刺激で、ヒル魔はその身を跳ねさせ射精した。
小刻みに痙攣する白い太腿はそこらへんの女以上に艶めかしく阿含を誘う。
若さゆえに枯れることの無い阿含の性欲が、ヒル魔を襲えと身の内から激しく憤っていく。
「...なっに?まだっやんのかっよ......この糞っ.....ぅあっく...」
「黙って犯られとけ。そのくらいしか能ねぇだろ、カスが...」
ヒル魔は力技で身体を翻され、背後から再び阿含に刺し貫かれる。
さっきの行為はヒル魔をイかせる為だけのもので、今からは阿含が満足するためだけの言うなればただ単なる自慰行為でしかない。
お互い楽しみ方によっては同時にもっと快楽を得られるというのに、どちらもそれを拒んでいた。
痛みがあるからこそ続く関係で、一方的な快楽であればこそ得られる安堵感。
それがヒル魔を犯す阿含の目的だった。
ヒル魔にしてもそれが分かっているから、何度阿含に犯されても性懲りなく近づいてくる。
実は自分を傷つけていることも知らずに、今はただ腕の中のヒル魔を阿含が乱暴に揺さぶっている。
ヒル魔はそんな阿含を冷ややかな眼差しで一瞥すると、またその瞼を閉じて与えられる痛みに神経を研ぎ澄ませた。
結局どんなにSEXしたところで、この二人にとってはただのマスターベーションでしかない。
そんなことにも気付けずに、幼く未熟な二つの塊は飽きるまで互いを貪り合い続けるのだった。