妬む鎖

「なんだ?こりゃ…………」

ムサシの手にぶら下がっているのは少し長めの鎖で繋がれた二つの輪。

「あぁ。秘密の特訓用兵器だ。」

そう言って嬉しそうに体育祭乗っ取り計画の成功を話すヒル魔をムサシは冷たい目で眺める。
ヒル魔のはしゃぎように少しイラツキを覚えたムサシは、ヒル魔に負けないくらいえげつない計画を思いつく。

「おい、ヒル魔。ちょっと手を出してみろ。」
「………?なんだ?糞ジジィ………」

カシャン

ヒル魔の右手首に冷たく金属のロック音が落ちる。
思わず見開いた目でその鎖の先を追うと、そこにはムサシの左手が同じように繋がれている。

「何しやがるっ!!この糞ヒゲっ!!!さっさと外せ。」
「外すと逃げるだろうが。」
「当たり前だっ!!って……うわっ!!」

ムサシが勢いよく左手を引くと、鎖に連れられてヒル魔が倒れこんでくる。
ヒル魔が体勢を立て直す前に、もう片方の自由な手もムサシに鎖で絡め取られてしまった。
いきなりのことに思わず唖然とするヒル魔を傍目に、ムサシは空いた利き手でヒル魔のボタンやファスナーを全て外しだす。

「んぅっ………」

無理やり重ねてくる唇を拒む事が出来ないのは、体勢だけのせいだけではなかったが悔しいので黙っておく。
代わりにきつく睨んで相手を怯ませようとしたが、カウンターのように捻られた乳首から伝わる感触が逆に視界を歪ませる。

「ふぁっ…………やっめ………」

ヒル魔の抗議の声などまるで耳に届かないのか、ムサシは無言で事を進めていく。
下肢は剥かれ胸も全てはだけられ、そこに散らされる赤い痕に悶えながらもヒル魔はなんとか自由になろうと足掻いてみる。
しかしもがけばもがくほどに食いこんでくる鎖の痛みに、同じように食い込んでしまっているであろうムサシの左手首へと思わず意識が向けられる。

「っこの……バカ………テメェのっ、手まで巻き込ん…で………」
「ん?………まぁ、何となく………。でもさすがにちょっと不便だから協力してもらうぞ、ヒル魔。」
「……なっに?………んぐっ!?」

ヒル魔の口腔をムサシの自由な指が犯す。
奥まで突っ込まれる指を押し返そうと必死に舌を使うヒル魔の口端からは飲み込みきれなくなった唾液が溢れる。
ピチャクチャと湿った音を鳴らされながら赤らむヒル魔の顔を見ているのは結構いい気分だとぼんやり思う。

「………っふ……はぁ………」
「まぁ、こんなもんで良いか………」

ヒル魔の唾液で濡れた武蔵の無骨な指が下へおろされる。

「痛くされるのが嫌なら大人しく足開いてろ。」
「ふざけんなっ!!………んやぁっ………」

ヒル魔がどんなに脚を閉じようとしても閉じきれない股の間から強引にムサシの指が割ってはいる。
そして蛇のようにその奥の孔へと滑りこませ狭い入り口をこじ開けていく。

「ひぅっ…………そっこ…いじんなぁ!!」

手っ取り早く広げる為にムサシはヒルマの弱い部分ばかり突いてくる。
触られてもいないヒル魔自身が頭をもたげてムサシの腕に刺激される。

「………こんだけ勃つならもういいか?」
「良いわけあるかぁっ!!……………やっ…いったぁ………まだっ無理ィ………」

ヒル魔の悲鳴があがる。
いつもより乱暴で性急なのはきっとムサシの心の奥にあるモノのせいだろう。
八つ当たりだとはわかっているが、今のムサシはその理由に気が付かないほど子どもでもないし、それをわざわざ教えてやれるほど大人でもない。
不安と痛みをその顔に滲ませながらも嬌声を発するヒル魔を下に置いて眺める事で、今は少し癒される。
ムサシの中に溜まったモノを全て吐き出したとしても、時間が自分だけを取り残して、また何も無かったかのように流れる事に耐えられる自信はない。
左手首に走る、締めつけられた痛みに眉をひそめながら情事に没頭する。




「このっ糞ジジィ!!この手首の跡をどうしてくれるんだっ!!」
「アメフトの時みたいにリストバンドでもして隠しとけ。」
「糞っ!!この身勝手野郎がっ!!」

酷く不機嫌なヒル魔を引き寄せ抱きしめる。
それだけで黙りこくるヒル魔に気付かれないように自虐的な笑みを浮かべる。
道を外れないヒル魔も、その道を一緒に進む自分で無い誰かも、全てが妬ましくて仕方ない自分の気持ちを押し殺す努力をしてみる。
どうかこの醜い思いが届きませんようにと願いながら、今度は優しくキスをする。