夜伽草子

昔々、どこだったか、名前すらも朽ち果てた集落に、色素が抜け落ちたような白い肌に金色の髪を持った美しい子どもがいました。
その容姿からか、生まれた時にはすでに親から捨てられ、本当であればそのまま短い生涯を終えるはずだったのですが、幸か不幸かこの集落が崇め奉る神への供物として期が熟すまで育てられる事となったのです。
子どもの名前はヒル魔、その性格が少しだけひねくれてしまっていたとしても仕方が無いほど、誰もが奇異の目で見つめる中で育ったのでした。
しかし、いつも誰かの監視下に置かれて息が詰まるような毎日の中にも少しの楽しみは残されていました。

「ヒル魔っ!!またそんな仏頂面して、せっかくの美人が台無しだな。」
「うるさいっ、糞ムサシ!!近寄るなっ!!!」
「………ひでぇ。」

いつからか集落の外れに住み着いたその男は名前をムサシといいました。
集落の人間全てが腫れ物に触るようにヒル魔に接する中でただ一人、歳相応の子どもとして扱ってくれるのです。
ヒル魔の憎まれ口に、大きな身体を丸めてしょげかえるムサシを見て、さすがに言いすぎたかとヒル魔は少し反省し、無防備に自ら近寄っていくのでした。

「………おいっ、ムサシ?いい大人がそんなんで落ちこむなよ……うわっ!!」
「隙ありー!!気を付けないとお前本気で美人なんだから、誰にどんないたずらされるかわからないぞ?」
「っ!!そんなのするのお前くらいだっ!!さっさと離せよっ、スケベジジイ!!」

ヒル魔が仏心を出したばっかりに、ムサシにいきなり押し倒されてじゃれあいが始まります。
ムサシに遠慮無く怒鳴ることのできるこの時間が1番楽しくて、ヒル魔はいつも自分から帰ることが出来ませんでした。
耳元でムサシに好きだとか逢いたかったと睦言のように囁かれると、ヒル魔の心はバクバクと脈打ちます。
それがムサシの本心なのかどうかはわからないけれど、幼いヒル魔にもわかるように暖かい気持ちを言葉に出してくれるムサシの事がヒル魔には特別な存在だったのです。
でもヒル魔は、そんな2人の楽しい時間も残りわずかになってしまっている事に気が付いていました。

『お前は14の歳に神様の所へ嫁に行くんだ。その為だけの命だと、よぉく覚えておくんだよ。』

毎日毎日繰り返される同じ言葉は呪詛のようにヒル魔の耳にこびりつき、いつのまにかその小さな胸をがんじがらめにからめとっていました。
神様の元へ嫁ぐという事がどういう意味かはよくわからなかったけれども、花嫁は輿入れの日まで清い身体を保ち、その日がくれば身も心も命さえも神様に捧げるのだと教えられてきました。
そしてもうすぐヒル魔は14の歳を迎えます。
だからその前にムサシに別れを告げなければならなかったのです。

「ムサシ、話があるんだけど………」
「何だ?ようやく俺の物になる決心がついたか?」
「バカッ!!そんな冗談言う為にきたんじゃねぇんだよ!!」
「ヒル魔?」

いつもと違うヒル魔の様子にムサシは訝しがります。
ヒル魔も今日こそお別れしなくては時間が無くなってしまうと焦り始めていました。
いつものようにはぐらかされる時間はもうほとんど残っていなかったのです。

「俺、もうムサシとは逢わなくなるからっ……」
「何言ってるんだ、ヒル魔?」
「もう俺の事は忘れて。じゃあ、もう行かなきゃ。」
「おいっヒル魔っ!!」
「……っ!!」

ヒル魔は一方的にお別れを言って逃げるつもりでした。
逃げられると思っていたのですが、身体も何もかもが大人のムサシに本気を出されては逃げ切れずに捉まってしまいます。

「急にどうした、俺が何か気に障ることでもしたのか?」
「……っ手、痛いっ!!」
「あっスマン、っておい!!逃げるなー!!」

ムサシに掴まれ強く握られた両手首はたいして痛く無いのにヒル魔はわざと声をあげます。
一瞬ムサシが怯んだ隙にヒル魔がまた逃げ出そうとするので、ムサシは仕方なくその華奢な身体を抱えあげて自分の家へと持ち帰ってしまいました。

「いきなり何言い出すのかと思ったら。さぁ、きちんとわかるように説明してくれ。」
「離せよ!!」
「だぁめ、きちんと納得するまで離さない。」

ムサシの大きな体に包まれて、ヒル魔は逃げ出そうにも身動きが取れない状態でした。
このままではきっと絶対離してくれない事はわかっていたのですが、なぜかこれからの事をムサシにだけは知られたくなくて黙りこんでしまいます。

「黙ってちゃわからんだろう、ヒル魔?」
「……………」

いつも一人でどこか遠くを眺めていた儚げな少年を見つけ、先に恋をしたのはムサシの方でした。
それからのムサシは少年の気を引こうと最大限の努力と忍耐を積み重ねて、ようやく今の関係に辿り着くことが出来ました。
本当なら今すぐにでもヒル魔に襲いかかりたい自分の身体を宥めながら、いつかヒル魔が大人になるまで待つつもりだったのです。
それが今日ヒル魔によるいきなりのお別れ宣言で、さすがのムサシも常識だなんだとはいっていられなくなってしまいました。
なりふり構わず捕まえてみたものの、ヒル魔はいつまでも口を閉ざしたままで、このままの体勢では自分の理性が持つかどうかとムサシは少し不安になってきます。

「ヒル魔?………っ!?」
「ちょっとむさっ…ダメだっ!!」

心配で覗きこんだヒル魔が今にも泣き出しそうに歪むので、ムサシは思わず唇を寄せていました。
驚いたのはヒル魔です。
この身は神様への供物なのだから穢されるなんて事は絶対にあってはならないことなのですから、必死で抵抗します。

「っ痛……何でそんなに嫌がるんだ?俺は本気でお前の事が……」
「ダメなものはダメだ!!俺はそういう事が出来ないっ、やっちゃだめなんだよ!!」
「………神様とかってのに輿入れするからか?」
「……何で…知って?」
「あほっ、知らないわけ無いだろうが。」

いくらよそ者のムサシでも、暫らく集落に住めばなんらかの関わりはでてくるし、その過程で詳しくは無いにしろ、何となくヒル魔について耳に入る事もあったのです。

「………俺、もうすぐ14だから……輿入れしなきゃ………」
「ダメだ。今度は俺から言う。絶対ダメだ!!」
「なに言って……?」
「だってヒル魔は俺の嫁さんにするんだぞ?」

あまりにいきなりの申し出にヒル魔の頭は真っ白です。
自分が神様以外の人のところに嫁ぐなんて、しかもそれがムサシだなんて考えた事もなかったのです。

「そんなの出来るわけ無いだろ!!糞バカムサシっ!!」 
「できるぞ、だって神様に輿入れできるのは清い身体でなくちゃならないんだろ?ヒル魔は今から俺の物になるんだから、もう清らかじゃなくなるわけだし。」
「はぁ!?何言ってんだ、ムサシ………ちょっと、わー!!!」

ムサシはヒル魔を床に押し倒してその前をはだけます。
ヒル魔はなんとか逃げ出そうと一生懸命にもがきますが、ムサシに押さえつけられた両腕はびくとも動きません。

「だめか?」
「っ!!……」

そう言われてヒル魔はその尖った耳先に軽く吸いつき熱っぽく囁くムサシの言葉に逆らえなくなってしまいました。

「ヒル魔が嫌ならなんとか堪えてこのまま出ていく。お前は神様の所でもどこでも行けばいい。どうする?」

ムサシがおでこを合わせてヒル魔の瞳を覗き込んできます。

「………嫌じゃ…ないっけど………怖いっ!!……んっ!?………はっ、ぁ…」
「大丈夫、大丈夫っ!」

常に清らかであるようにと育てられたヒル魔は、これから自分の身に何が起こるのか全くわからなくてプルプルと小刻みに震えてしまいます。
そんな小動物のような様子が可愛くて、もっともっと苛めたいと思ってしまう肉食動物系のムサシがちょっとだけヒル魔に口付けました。
明るく大丈夫と繰り返すムサシを見ていると、ヒル魔もなぜか大丈夫な気がしてきて、ぎこちなくではあるのですが笑みを浮かべます。

その表情にムサシは堪らなくなって、今度は深く唇を重ねるのです。

「んふぅ……んんっ…………ふぁっ」

初めての感覚にヒルマは頭の奥がかすんできます。
苦しいはずなのに身体から力が抜けてムサシを押し返す事も出来ません。
ムサシはそれをいい事にもっと深く念入りにヒル魔の口腔粘膜を舐め上げ、その可愛い舌に吸いつきます。

「んぁ……あっ……はぁ、やぅっ!!」

ムサシの舌がヒル魔の唾液を辿って首筋へと降りていきます。
ムサシは途中何度もその白い肌に食いついて、まるで刻印のように赤い跡を念入りに残していくのでした。
ヒルマを苛むのはムサシの舌だけではありませんでした。
ムサシの無骨な指に胸の先の小さな突起を摘ままれて、押しつぶされたり撫でられたりする度にヒル魔の口からは今まで出した事も無いような声が上がります。

「ひゃあ……むっさ…」
「ここ、気持ちいい?」
「やっ、何?……わかんなっい…うっ、ん……」

ムサシに舐めあげられた胸の突起は赤く充血して、白い肌に映えてぬらぬらと光っています。
軽く噛まれてまた吸い上げられると、指とはまた違った感覚が背筋を伝って身体の上と下へ同時に送られるのでした。
ヒル魔は自分の腰回りに溜まる熱に浮かされながら、知らず知らずの内に細い腰を揺らめかせます。
その様子に気付いたムサシはまだまだ幼いヒル魔のモノに手を伸ばします。

「……ひっ!変なとこっ触るっなぁ……あぁっ!!」
「いいから、余計なこと言わずに声上げてろ…」
「ふやぁぁぁっ………」

ムサシの姿が視界から消えたと思った瞬間に、下腹部から強烈な感触がせりあがってきました。
今まで自慰すらした事の無かった幼い生殖器はムサシの口に咥えられ、好きなように舐めあげられていたぶられます。

「やっ!!なに?……んやぁぁあっ!!」

排泄欲求と放出欲求の違いもわからず、ヒル魔は追い上げられて、我慢できずに射精します。
たぶんきっと初めての精通だったのでしょう。ヒル魔は上手く回らない下でムサシに謝ります。

「ごめ……さぃ……、汚…れた?」
「いや、結構早くて吃驚したけどな。気持ち良かっただろ?じゃあ次はこっち。」
「……????」

ムサシは次も何もわからないヒル魔をうつ伏せにして、お尻だけを持ち上げます。
そうして固く閉ざされた可愛くいやらしい孔の周りを丁寧に舐めあげていきました。

「ムサシっ!!汚っ!!!やめてっ………やぁぁっ!!!」

ムサシの手に無理矢理広げられた孔の入り口からは、綺麗なピンクの内壁が見えています。
ムサシはそこに舌を捩じ込みゆっくりと唾液を擦り付け馴染ませていくのです。
ヒル魔にとってはただの排泄器官でしかない場所をムサシによって舐められ広げられていくのですから堪りません。
何度もやめてと懇願するのですが、ムサシの指が差し込まれる頃には、ムサシの名前も紡げないほどに息が乱れて訳がわからなくなっていました。

「ぁっは……むぅぅっ…ぃ………あぁっん……」
「そろそろいいか、ちょっと我慢な?」
「ふぇ?………あっ!!やぁっ…イタっ!!やっ…やだっ……痛いっ!!」

霞みの掛かった頭と身体にハッキリとした鋭い痛みが走ります。
ヒル魔はあまりの痛みに目を見開き、涙を流しました。
幾度となく止めてと叫んでもムサシは聞いてくれず、ヒル魔はただ耐えきれない痛みに声をあげて泣くばかりでした。
実はムサシだって、ヒル魔の狭さとキツさに眉をひそめて耐えていたのですが、大混乱のヒル魔がそんな事に気付けるわけも無かったのです。
ヒル魔が痛みに耐えきれず意識を手離した時にはムサシも限界を迎えていました。

「はぁ……結構無茶したな……。」

幼さの残るヒル魔の下肢にはくっきりと鮮血がこびりつき、所々白い残滓で薄められ桃色を作っていました。
その綺麗な顔には涙の跡でいっぱいです。
ムサシは周りに広がる惨状に頭をガシガシとかきむしります。

「まぁ、やっちまったもんは仕方ないか。これから馴らしていけば良いしな。」

少し青ざめたヒル魔の頬を撫でながらムサシはこれからのことを考えます。
この集落の大事な大事な貢物を台無しにしてしまったのですから一秒だってここにいるのは危険でした。
初めから判ってやった事とはいえ、また新しい場所を捜すのかと思うと面倒くさくなって思わず鼻白んでしまいます。
それでもヒル魔の全てを自分の中捉まえて我が物にできた満足感と、集落の人間が信じる神様とやらから奪い去ってやった充実感に顔は緩み、心は浮き立ち身体は軽くなります。

「さて、いつまでもぐずぐずしてちゃ、マズイな。」

ムサシはそう言って用意しておいた荷物と、いまだに目覚めぬヒル魔を抱えて足早に集落を後にします。
他の人間に気付かれてからでは遅いので、少しくらいの疲れは気にしていられません。
まずは安心できる土地に落ち着こうと、心当たりを記憶の中で捜してみます。
そういえば自分の生まれ故郷には心の優しい大きな男が友人にいた事とか、世話好きの村娘がいつでも帰れば良いといってくれていた事を思い出ます。
あの時には何となく自分が住み続けるには、何かが違う気がして飛び出してきたのですが、今ならきっと大丈夫だろうとヒル魔のいる生活に思いをはせながらムサシは懐かしい場所へと進みます。
腕の中で眠るヒル魔の重みを感じながら、目が覚めた後の機嫌のとり方や見知らぬ土地への不安をどう宥めてやろうかと考えます。
どんなにヒル魔が泣いても怒っても、最後はムサシの思い通りになるようにするには、これからどうやって育てていったら良いのだろうと考えるだけで軽快に足は進み、疲れも吹き飛ぶのでした。
たぶん、ここからなら目的の村にはヒル魔が14の歳を迎える頃には着くはずです。
その時には、ヒル魔が14の歳に嫁ぐ先は、得体の知れない形の無い神様などではなくこのムサシなのだと、ヒル魔の目が覚めたら一番に言ってやって強く抱きしめようと楽しみをまた1つ増やしたムサシでした。