保健室のマヨネーゼ

1)
授業の終了時間を知らせる鐘が鳴り、3年Z組の空気が騒 がしくなる。
土方は誰に声をかけることもせず、一人教室を出た。
先ほど授業中に散々泣いて、泣きはらした顔が恥ずかし くて顔を洗いに行きたくなった。
今日の授業は土方にとって、とても素晴らしいものだっ た。
正確に言うならば、授業が素晴らしいというより授業の 教材がとてつもなく素晴らしかった。
教材に使われたのは映画のパンフレットで、土方はその 映画がとても大好きだった。
ちょっと昔風に言うならば、リスペクトしていると言っ ても過言ではない。
任侠に生きる男が他人のために、命を賭して地球外生命 体と戦う。
土方はその内容を回想するだけで感動が蘇り、また涙が 溢れそうになった。
慌てて目元を擦りあげる土方を、背後から聞きなれた声 が呼び止める。

「多串くーん、ちょっと話があるからついてきてよ。」
「嫌です。」

土方は振り向かずに即答する。
誰が声をかけているのかは、顔など見なくても声でわか る。
ついさっきまで、土方を泣くほど感動させた3年Z組担任 の坂田銀八その人だった。

「ぅおおいっ!それが教師に対する態度かっ!お前それ でも風紀委員会副委員長かぁ?ほんとに最近の高校生は 乱れてんなぁ、おい。」
「乱れてるのは先生の天然白髪パーマだと思います。」
「うるせぇっ。本気でお前ムカつくな。しばき倒すぞコ ラ。」
「暴力教師なんざ今時はやんねぇぞ。それから、俺は多 串なんて名前じゃないし、近寄んなっ!!」

問題が服を着て歩いているような教師は、いつの間にか 土方の真後ろにぴったりとくっついてきている。
土方はこの担任教師が苦手だった。
その理由を銀八はいつものように口にした。

「お前の友達、また志村姉貴にストーキングかましちゃ ってて、もみ消すの大変なんだけど。土方君が協力して くれなきゃセンセーの手には負えなくなりそう。」
「・・・・・・っ!!」

友達とは風紀委員会会長を務める近藤のことだった。
近藤は人格は良いのだが、どうにもこうにも馬鹿が目立 ってしまい、その尻拭いをいつも土方がする羽目になっ ていた。
しかし土方も所詮は高校生のガキでしかなく、尻を拭う にも限界があった。
腐っても大人で担任教師の銀八はそこに目をつけて、近 藤を庇う代わりに事あるごとに土方にちょっかいを出し てくる。
そのちょっかいの出し方がいつも常軌を逸していて、親 友である近藤の為でなければ銀八とは出来るだけ関わり 合いたくないのが本音だった。

「保健室の鍵あずかってっから、とりあえずそこで話し ようや。」
「顔、洗ってからでもいいですか?」
「うん。いいけど洗うなら保健室でやってね。それにつ いても話し合わなきゃいけないから。」
「・・・・・・・・・。」

土方が本気で嫌なら拒絶できるし、そうしたらきっと銀 八も食い下がりはしないだろう。
しかし困ったことに、銀八のちょっかいを嫌がりながら も毎回受け入れてしまう自分がいる。
一人で教室を出たことを、土方は今更ながらに後悔する 。
俯いたままの土方の背中に手をかけ、じゃあ行こうかと 銀八は2人で廊下を歩き出した。


2)
保健室に着いた銀八は扉に鍵をかける前に、ご丁寧にも 不在中の札と簡易救急セットを入り口に置くことを忘れ なかった。
銀八が保健医と生徒の相談用にあつらえられた2人がけの ソファに腰を下ろす。

「何してんの?そんなとこ突っ立ってたって話し始めら んないでしょ?」
「顔、洗いてぇんだけど。」
「それだけ目が腫れてりゃあ、ちょっとやそっと洗った って何も変わんねぇって。とりあえずこっち来いよ。」

土方はしぶしぶ銀八の傍へと近づいた。
なぜか不機嫌そうな銀八が、所在無く立ち尽くす土方を 下から睨みあげている。

「何で先生の言うこと聞けねぇの?」
「はぁ?こっち来たじゃねぇかっ。」
「そうじゃなくて、今日の授業中に先生言ったよね。保 健室行ってマヨネーズ注射して来いって。」
「何言ってんだ?マヨネーズなんて注射できるわきゃね ぇぞ。」
「でーきーまーすー。今からやってやるから下脱いでコ コに跨れ。」
「ざけんなっこの変態教師ッ・・・うわっ!!」

土方が暴れて逃げ出す前に銀八はその腰を捕まえ、自分 の膝の上に向かい合わせに座らせる。
急に近くなった銀八の顔に驚いて、土方は反射的に目を 固く閉じた。
ぬるりとした濡れて生暖かい肉の感触が土方の頬をなぞ る。

「しょっぺぇ。お前もっと糖分取れよ。」

いきなりの行為に驚いて、全身が固まったままの土方の 頬を、銀八が右に左にと交互に舐め続ける。
土方は自分をぺろぺろと舐める男の姿が小動物じみてい て、すこし可笑しくなった。

「笑ってんじゃねぇ。ったく、先生は本気で怒ってんだ からな。あんな大勢の前で泣き顔なんか見せやがって。 」
「・・・・・・ンなことで機嫌悪かったのかよ?」
「お前ももうちょっと自覚しろよ。どれだけ善良な市民 や在校生を変質者に仕立て上げたいの?」
「テメェ以上の変質者なんて会ったこともないな。」
「ああそうっ!それじゃご要望どおりに凄く変質者なこ としたいから、このまま膝立ちになって。」
「いっ、嫌だっ!!」
「・・・・・・ゴリラ、同じ檻でも動物園と少年院じゃ 雲泥の差だと思わない?」
「うっ・・・・・・汚ねぇぞ、この卑怯者っ!!」

卑怯で結構と銀八は言い放ち、涼しい顔で土方のベルト に手をかけて前を寛げる。
土方も近藤の名前を出されるとどうにも立場が弱く、し ぶしぶ銀八の動きに従う。
銀八と向かい合って膝立ちし、ソファの背に手を付いて 、下着ごと膝までズボンを下げられた下肢をその目に晒 す。

「相変わらず、いつ見てもいい景色だよな。」
「ふざけんなっ!今日は何しようってんだ・・・。」
「マヨネーズの注射を教えてあげようと思って。テスト には出ないかもしれないけど、知ってて損にはならない よ?」
「いいいいいっいらねぇっ!!」
「まぁそういわずに。」

そう言うと銀八は薄笑いを浮かべながら、掌サイズの小 さなマヨネーズチューブを取り出した。
銀八のやりたいことなど、この男の酔狂に何度も付き合 ってきた土方には手に取るようにわかってしまう。
逃げ出してしまいたいのに、それが出来ない言い訳のよ うに志村妙を追い掛け回す近藤の顔が頭の中でリフレイ ンする。
冷たくぬるりとした感触が、何の前触れもなく後孔の触 れた。
咽喉が引きつるような短い悲鳴が土方の口から漏れる。

「そんなに驚かなくても、急に入れたりなんかしねぇっ て。一応ほぐしてからでないと、お前のココって狭いか ら。コレでも先生は優しくしてやってんだぜ?」
「ひあっ!!」
「あっ、締めてんじゃねぇよ。こういうのは共同作業な んだから、お前も協力しろって。」

ゆっくりと孔の表面をなぞられて、そこから背筋へと粟 立つような感覚が走り抜ける。
銀八は指につけたマヨネーズを塗りこみ、土方の後孔を ほぐそうとする。
時々膨れ上がる孔を、その動きに合わせて指の腹で押し 上げると、土方が息を詰めて身体を強張らせる。

「ふっ・・・・・・うっ、ン・・・」

徐々に乱れていく息をかみ殺そうと努力する土方の表情 を下から眺めて、銀八はゴクリと咽喉を鳴らせる。
そうしていい加減ほころんできた後孔に、マヨネーズチ ューブの先を突き立てた。

「ぃあっ!!止めッ・・・」
「マヨネーズって注射できるだろ?」
「イッ・・・中っ、絞ん…なっあ!!」

ぶちゅぶちゅと容赦なく進入してくる冷たいマヨネーズ の感触が、土方の全身を震わせる。
銀八は小さなチューブの中身を一気に絞り込んで、空に なった容器を床へ放り投げた。
体内に進入しているマヨネーズを排出しようと土方の内 壁が動き、連動して後孔が盛り上がる。

「水とかみたいに流れたりはしないけど出てきそうだな 。人間型マヨネーズチューブみたいな感じ?」
「ばっか、やろ・・・・・・出そう、だから・・・さわ んなっ・・・・・・」
「出るのが嫌なら、蓋してげようか?」
「なにっ?ひぃっ!!」

いつの間にか下で起立した銀八が入り口に当てられ、そ のまま土方の腰を掴んで一気に下へと引き下ろす。
弄りまわされてほぐれかけていた土方の後孔は、マヨネ ーズの滑りを借りてなんとか銀時を飲み込んでいく。
それでも身体にかなりの負担がかかっていることは、痛 みに耐える土方の表情から窺えた。
土方は無意識に銀八の首へとしがみ付き、内壁が馴染ん で痛みが遠のくのを待っている。

「・・・・・・ぅうっく、もっぅ無理・・・・・・痛っ くて、ダメっだ・・・・・・」
「それくらい我慢しろよ、先生だってキツイ締め上げ我 慢してんだからさ。それにほらっ」
「ぅあっ!!揺すんっなぁ・・・んんっ・・・ふぅ、っ く」
「前こんなにしといて、痛いだけじゃッ・・・ねぇだろ 。」
「やっぁああっ!!」

銀八は器用に腰を使いながら、腹に当たる固い感触に手 を伸ばした。
内部を突き上げられた瞬間に、固く立ち上がった土方自 身を握りこまれて土方はあっけなく達してしまう。

「おいおい、いくらなんでもちょっと早いんじゃねぇの ?俺まだ全然余裕あんだけど。」

解放の余韻に包まれた土方は、銀八の声に答えること無 く荒い呼吸を繰り返す。
体内では今もってその存在を誇示し続けている銀八が、 圧迫感となって土方の身を震わせていた。
銀八は返事の返ってこない土方の様子に、性急に事を推 し進めすぎたと思いながら、自分の後始末をどうつけた らよいか思案する。
そしていつもの癖で、汚れた自分の手を舐めた。

「うえぇ、マヨネーズの味がして舐められたもんじゃね ぇな。やっぱ生クリームあたりで手をうっときゃよかっ たぜ。」
「んあ、甘ったるいもん・・・・・・入れられて、たま っかょ」
「あれ、ちょっと戻ってきた?続きいけそう?」
「もっ・・・・・・ヤダ。」
「そんな涙目になられても、こっちだって結構ツライん だけど・・・・・・。」

まだ意識が戻りきっていないのか、さっきよりも幾分か 幼い感じの土方に、さすがの銀八も無理強いが出来なく てまた考え込む。
このまま土方の言うとおり行為を止めてもいいのだが、 こんなプレイはそうそうできるものではなく、それを思 うとせめて一回は達っておきたいと思ってしまう。
もう一度、土方の様子を窺うように視線を下げた先に見 える薄く開いた唇が、銀八にひらめきを与えた。

「なぁ土方、今日はもう無理なんだったらさぁ、口でし てくれたら終わってあげれらるけど?」
「んなっ!!ひぅッッ・・・」
「あっ、ちょっと締まった。」

銀八からのとんでもない申し出に抗議しようと身じろい だ瞬間、銀八の物が内壁を擦って思わず声が上がる。
できるだけ身体を動かさないようにして、尻から意識を 遠ざけようと勤めながら土方が銀八を非難する。

「馬鹿なこと・・・・・・言ってんじゃねッ、ぞ。」
「だって、あれだよ。マヨネーズってお前の好物じゃん ?」
「お前のアレは食い物かッ!!うあっ・・・」
「あっまた締まってってちょっと、そんな蛇の生殺しみ たいな攻め方すんなっ!!口でやる気がねぇんなら勝手 に続きおっぱじめっぞ!!」
「あっぅ、ヤッ・・・わかった!!するっ、口でするか ら、もッ・・・動かっすなぁあ!!」

悲鳴のような土方の返事に、銀八は舌打ちしながら動き を止めた。
そして、また少しぐったりした土方から自分を引き抜き 、土方を床へと下ろした。
まだ身体に十分力が入らない様子の土方の口元へ、銀八 がその先を押し付ける。

「ほら、約束は守んなきゃ。それとも嘘付く気?」
「・・・・・・ちっくしょ・・・やればいいんだろっ、 やればよぉ。」

土方は半ば自棄になって、マヨネーズにまみれた銀八に 舌を這わせる。
その形は予想以上に大きくて、よくこんなものが自分の 中に入るなと思うと頬が熱くなった。
目を瞑り、マヨネーズの味だけに集中して舐め続けてい ると、銀八がそっと土方の頭に手を置き、いきなり口腔 内へとマヨネーズ味の肉棒を捻じ込んできた。

「んぐっ、んんっ・・・・・・ふっ・・・ん」
「舐めるだけじゃ大して気持ちよくないのは男同士なら わかるよねぇ。やっぱこういう摩擦が無いとさ。」
「んっんんっ・・・んっ・・・・・・ん」

銀時は土方の頭を捕まえて、自分の良いように動かし始 めた。
咽喉のかなり深いところまで突かれて、土方は胃の中身 を吐き出ししそうになる。
こんなに口腔いっぱいに銀八を頬張らせられては、むせ ることも出来ない。
息が出来なくて苦しさのあまり涙が滲んだ。

「先生そろっそろ、終わっちゃうから、きちんと受け止 めろよっ、っと!!」
「ググゥッ!!・・・・・・んっっぐ、ゲホッ・・・・ ・・」

咽喉の一番深くで一際大きく膨れ上がった銀八がはじけ て、土方の口腔いっぱいに侵食する。
飲み込むよりも先に気道に入った残滓が、土方を激しく むせこませた。
静かな保健室の中で、土方の咳き込む声だけが響いてい た。


3)
呼吸を落ち着けた土方が、まず一番最初にしたことは洗 面台で顔を洗うことだった。
当初の理由とは全く違っていたが、とにかく口腔内も含 めて顔中を綺麗に洗ってしまいたかった。
あんなに大好きなマヨネーズも、さすがに今日だけはち ょっと遠慮したいと思いながら顔を拭いていると、銀八 が暢気に声をかけてきた。

「今度から俺が保健室でマヨネーズ注射して来いって言 ったら、きちんと自分で注射して大人しくベッドの上で 待ってること。わかったかぁ?わかったら返事すること ぉ。」
「わかるわけねぇだろっ!!この変態教師ぃぃぃいいい !!!!」 「まぁまぁ、可愛いペットの為だと思ってさ。あっ、と ころでゴリラってワシントン条約かなんかの保護動物だ けどペットにしても大丈夫か?あんまり問題起こすなよ 、そのたびにいちいち呼び出されるこっちの身にもなれ ってんだよなぁ。」
「違うわぁぁぁッ!だから近藤さんをゴリラ言うなッ! !ペットでもないわぁぁぁっ!!!」

自分の怒声などまるで気にしていない様子の銀八を見て 、この先も何度こういう事があるのだろと恐怖に駆られ た。
どんなに嫌だと言おうとしても、近藤の名前を出されて しまってはきっと断りきれない自分がいる。
本当に断れない理由はたぶん別の所にあるのだが、今そ れを認めてしまうことは出来なかった。
銀八との断ち切れない関係を、近藤のせいにするなど卑 怯だと思いながらも自分の心の奥底へとそれを閉じ込め る。
そして土方は銀八を拒みきれない自分の弱さを近藤の責 任にして、『どうかこれ以上、近藤さんが馬鹿をしませ んように』と心の底からひたすら祈るのだった。



終わり