メロディ1:♪ずぅーと会いたくて待ってたの♪
♪あみの上に優しく寝かせて♪
ピンポーン ピンポーン
朝からやかましくインターホンが鳴っています。
ですが連日遅くまでの現場仕事で非常に眠たいムサシさんは居留守を決め込もうとしていました。
ピンポーン ピンポーン ピンポンピンポン ピンポーン
「ああっ!!もう、うるさい(怒)いったいこんな朝早くから誰だ畜生!!」
「毎度、宅急便で―っす!!こちらにハンコ下さい!!!」
インターホンの音よりも更に大きな声で宅急便のお兄さんがムサシさんに詰め寄ります。
寝ぼけて熊さんみたいなムサシさんの風貌にもびくともしないなんて、頼もしい宅急便のお兄さんです。
とにかく1秒でも早く眠りに着きたいムサシさんなので、荷物なんてろくに確かめもせずにハンコを押してしまいました。
「じゃあ、これ。ここにおいておきますんで、ありがとうございましたー!!!」
嵐のようにやってきた宅急便のお兄さんは、大きな荷物をムサシさんの家の前において嵐のように去っていったのでした。
「なんだこりゃ?」
荷物の送り主は【栗田商店通信販売部】、品名は【商品番号011 生モノ】、受け取り人は【武蔵 厳 様】です。
でもムサシさんには全く身に覚えの無いものでした。
無駄に元気な宅急便のお兄さんのおかげで少し目が冴えてしまったムサシさんはとりあえず荷物を開けることにしました。
さあ、箱の中身はいったい何でしょうか?
「っ!?」
荷物を開けてムサシさんはびっくりです。
なぜなら大きな箱の中から出てきたのはとても綺麗な生(ナマ)人形だったからです。
生人形はとても精巧でまるで本物の人間が眠っている様に見えますが、まだ始動されていないのでただの人形でしかありません。
それでも、一糸纏わぬ白磁のような真っ白い肌や金色の頭髪、すらりと伸びた手足に可愛くとがる少し大きめの耳、今は血の気も無く閉じられた薄い唇、どれをとってもこんな綺麗な人形は見たことがありませんでした。
ムサシさんはこの綺麗な生人形をどう扱って良いのやらわからず途方にくれました。
そしてどこかに説明書か何かが無いかと箱の中をまさぐっていた時、この綺麗な生人形のひんやりとした頬にムサシさんの手の甲がふれました。
次の瞬間、生人形の瞳がゆっくりと開かれたのでした。
「てめぇがオレ様のご主人様か?どっから見ても糞ジジイだな。」
「?????????」
綺麗なだけの生人形と思っていたのに、閉じられていた瞳が実は鋭く、口の悪さは天下一品だなんてムサシさんは驚きです。
ムサシさんの逞しい胸はドキドキムネムネやかましく喚きだしていました。
殿方とはギャップに弱いものなのです。
「ずっとご主人様を待ってて待ちくたびれたぜ。とっととココから出しやがれ!糞ジジィ!!ほれっ。」
生人形はその綺麗で長い指先をムサシさんに向けて伸ばします。
思わずムサシさんもその手を取りゆっくりと慎重に抱え上げ箱から出してあげました。
生人形の身体は頬と同じようにすべすべひんやりとしてとても触り心地が良くて、ずっとお姫様抱っこしていたかったのですがそういうわけにもいかず、自分がさっきまで寝ていた布団の上にそっとおろしてあげました。
「何だよ、もう早速犯んのかよ?こんなトコに寝かせやがって。ケケケッ」
「?………!?いや、違っ」
「まあ、いいか。テメェのお手並み拝見だ。好きにしていいぞ。」
そう言って生人形はとても妖艶な笑顔をつくりムサシさんを誘うのです。