−現在−
『大きくなるってどういうことだろう?』
『年をとればいいのかな?』
『いくつになれば大きくなったの?』
『身長?』
『何センチになれば大きいのかな?』
『心?』
『大きな心ってなに?』
「自分の大事な奴を守れるようになったらだよ。」
ムサシの口癖に答える父親の言葉がいつも頭の中を駆け巡る。
『あの人の為に強くならなくちゃ!そうしてお嫁に来てもらうんだ。』
小さなムサシは毎日毎日強くなる為にあらゆることに挑戦していった。
そして恋する人に認めてもらい一日も早く再開できるようがむしゃらに突っ走った。
1年経ち2年経ち……気が付くとムサシは中学卒業の日を迎えていた。
新たな旅立ちを祝う早咲きの桜と季節はずれの雪がちらつく冬と春の狭間に突然、愛しい人は現れた。
「よう糞ガキ、大きくなったな?約束どおりきてやったぜ。」
もう10年は経っているというのに着物の白に負けないくらい白い肌には皺一つ無く、意地悪そうなきつい眼差しは相変わらずで、唯一変わったことといえばその美しい姿形の奥に感じる妖艶な気配だった。
とはいうものの、まだ幼かったムサシに大人の色香などわかるはずも無く、思春期になって初めて感じることが出来るようになっただけということなのかもしれないが。
ムサシはこの目の前にある幸せに駆け寄りおもいきり抱きしめた。
近寄ってみると相手はまだ幾分か自分より高く、だがその身体は同級生の女子よりも華奢でか弱く感じられた。
「おいっ!痛いって!!こらっいいかげん離れろ!!」
「おれ、大きくなった?どこが大きくなった?よくわかんないけど大きくなったから来てくれたんだよな?」
「……まぁ、な。背はちっとチビだがまけてやる。何が大きくなったかはしゃくだから教えてやらねぇけど約束だからな。っちょっ!んっ!?」
ムサシは綺麗な人を抱きしめたまま、その薄い桜色の唇にキスをした。
公衆の面前であったはずなのに誰一人として2人に関心をはらうことなくその場を去っていった。
「嫁さんの名前くらいきちんと教えてくれよ。」
「初めて会ったときに教えただろう?」
「………よく覚えてない。っつーかアンタと別れてから約束意外は何も頭に残ってないんだよなぁ?何でだろ??」
「覚えておく必要が無いからだろ。しょうがねぇな。ヒル魔でいいからそう呼べ。……どうでも良いが、いつまでこんな格好しておく気だ?」
ムサシはヒル魔を連れかえりそれからずっと膝の上に抱え込んでいる。
ヒル魔の顔は綺麗過ぎて正面から見るなんて気恥ずかしくて仕方が無い。
それ以上に、大人にこだわるムサシはヒルマの身体から漂ってくる甘い香りに落ち着かない自分を見せたくなかった。
「だって、離したらまたいなくなるかもしれないだろ?だから捕まえておく。」
「……ぷっ、だはははっ………なんだそりゃ?中身は相変わらず甘えん坊の糞ボウズか。」
「なっ!子ども扱いすんなよ!!もう大人になったから嫁にきてくれたんだろ!?」
必死にしがみついてくるムサシのいじらしさにおもわず噴き出してしまったヒル魔の表情がムサシの一言で妖しく変わった。
「ふーん、じゃあこのまま初夜でもいたしますか?旦那様?」
「っ!?」
腕の中のヒル魔はいつのまにか向き合ってムサシの胸にすがり付いていた。
少しはだけた胸元から桜の花びらのような小さな飾りが見え隠れする。
ヒル魔は息を呑むムサシに淫猥な笑みを浮かべてその身体を下へとおろしていった。
「うわっ!!」
ふいに生暖かい感触がムサシの下半身に広がり今まで感じたことの無い快感が背筋をつたった。
まだ中学を出たばかりのムサシには自分の手意外の感触など知るはずも無く、自分の全ての感覚をヒル魔に握られてしまった。
「んっ!ふぅ!!もっ無理ぃ…!?………はぁ・・……。」
………コクン。
「わぁあああ!!何飲んでんだよ!!何で飲むんだよ信じられーん!!!」
ムサシは初めて他人にイカされた気持ち良さとあまりの気恥ずかしさに真っ赤になって抗議した。
「慣れたらお前がオレにしてくれても良いんだぜ?……やっぱ元気だなお前。初めてだから一発ヌクとこの後使えんかと思ってたけどその心配は無いようだな。」
「初めてって言うなぁぁぁぁ!!」
ムサシの魂の叫びにも耳を貸さずヒル魔は自分の準備を始める。
ムサシにわざと見せるように着物をはだけて足を開き、さっきムサシが出したモノの残りと自分の唾液で湿らせた指をその奥へとゆっくり入れていく。
「んっ、はぁ……ふぅ……」
ムサシがごくりと咽喉を鳴らす様を満足そうに見るヒル魔の顔はうっすら上気しその指は激しさを増していった。
「……触ってもいい?」
「今日はダメ。でもそのうち覚えたなら好きにしたらいい。」
たまらず身を乗り出して声をかけたムサシをヒルマは優しく押し倒した。
ヒル魔はいつのまにか自分への行為を止めムサシの上に覆い被さるようにして跨っている。
「ム…サシぃ……はぁ……んッ、んんッ……っ!」
「っう!?」
ムサシはゆっくりとヒル魔に包み込まれて沈んでいく。
先ほどの口腔の刺激とは全く違った新たな快感に成すすべも無く翻弄されていく。
ヒル魔はムサシが自分の中に完全におさまったことを感じるとそのたおやかな腰をゆっくりと躍らせていった。
「あっ……んっ、はっ…はっ…」
ヒル魔の口から漏れる控えめな嬌声とその猥らな動きにムサシは何とか耐えようとしたが上手くいかず、いつのまにか身体はおろか意識さえも全てヒル魔にゆだねていった。
「……?…………!?」
「よう、おはようさん。昨日はなかなか頑張ってたぜ?将来有望だな。旦那様。」
……チュッ。
「……なんだよ?まだし足りねぇの?若いねぇ……。」
「触んなっ!見るなっ!あっち行けぇぇぇ!」
さわやかな朝……とは言いがたいが腰まわりはかなりすっきりとした目覚めで、だがそれも隣でモーニングキスをしてくる淫乱な新妻によって軽くいなされてしまう情けない若婿であった。
それから毎日ムサシはヒル魔に教えこまれ、若さと元々の負けん気も手伝ってその差が縮まっていくのにそれほど時間はかからなかった。